1月、2月は、受験シーズンのまっただ中……

 ある1月の夕方、ロコペリに一本の電話がかかってきました。
 かけてきたのは、中学3年生のK君。高校受験の結果を伝えに、電話をしてくれたのです。

 さかのぼること昨年6月。K君は受験生となりましたが、勉強をすることに意欲がわいていませんでした。宿題にもなかなか手を付けない、とお母さまから相談があり、理事長室で先生と話をすることになりました。

 「なぜ勉強するのかがわからないです。だから勉強もしたくありません」
 と言ったK君に、先生は問いかけました。
 「じゃあ、将来自分がやりたいことはある?なんでもいいよ」
 K君はすぐに答えました。
 「一人暮らしがしたいです」

 K君は、ずっと「一人暮らしをする」という夢を持っていました。そして、一人暮らしにはどんなお金がかかるのか、光熱費や食費、そういった費用がいくらかかるのかまで、しっかりと調べて、知っていたのです。

 「一人暮らしには、どれぐらいお金がかかるのか知っているんだね!そうしたら、そのお金をどうやって稼ごうか?」
 先生は続けて問いかけます。
 「……」
 「社会に出たら、いろいろなお仕事があるんだよ。体を使って外で働く?工場などで作業をする?それとも事務のような仕事をする?」
 「外で働くのは嫌です。事務もしたくありません」
 「そうしたら、作業をしてお金を稼ぐのがいいのかな」
 「はい」
 「そうなると、この高校のこの学部に行けば、K君のやりたい仕事につながる勉強ができるよ」 
 「そうなんですね!」
 
 K君はこの面談のあと、土曜日や長期休暇を使ってロコペリに積極的に来るようになりました。中学校の先生から受験用の問題をもらったり、ロコペリで苦手な部分のプリントを用意したりして、個別の部屋で取り組みました。
 受験が近くなると、面接の練習も行っていきます。自分で理事長先生にお願いをして、本番で緊張しても答えられるようにしていました。

 こうして年が明け、一月中旬。K君は、入試本番に挑みました。
 「ほとんど解けたけど、漢字を何問か間違えてしまった……」
 受験を終えてほっとした顔をしながらも、合格発表までの期間、緊張している様子でした。

 そして合格発表があった1月の下旬。K君からかかってきた電話を取ったのは、6月に面談をした先生でした。ほかの職員も、固唾をのんで結果を待ちます。

 「先生、合格しました!!」

 この言葉に、拍手が沸き起こりました!
 K君の8か月の努力が実った瞬間でした。

 自分の将来のなりたい姿と、勉強とをしっかりと結び付けて、K君は頑張ってくれました。自立に向けた支援の一環として、高校受験は大きな意味を持ってくると感じます。「つきたい職業に就くために、なりたい大人になるために」受験をする、勉強をする、そしてその努力が実った時の達成感は、子ども達にとって大きな意味を持つ経験になっていくと思います。
 子ども達の夢を引きだしていく支援を、これからも目指します!
 


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